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【#100年恋をしよう -セカンドライフ編-】親子での会話を通して、自分らしい高齢期の過ごし方を考える

私たちが向かう人生100年時代。
自分らしく暮らす秘訣は、
いつでもいつまでも、恋するように何かに夢中になること。
この福岡のまちでイキイキ過ごす人々へのインタビューを通して、自分だけの人生100年を見つけるヒントをお届けする企画「♯100年恋をしよう」
第5弾は「セカンドライフ編」です。

今は元気に過ごしていても、いつかは迎える高齢期。
後悔のないよう準備はしておきたいですが、実際に終活(※)を始めるには、何かきっかけがないと難しいもの。

62歳の城戸 秀博さんもその一人で、日々の仕事に追われ、今後の人生について具体的に家族と話したことはまだないそう。次男の暢さんとの会話を通して、高齢期の過ごし方や家族のことについて考えました。

※終活とは、元気なうちから人生の最終段階までの過ごし方について自ら考え、準備すること。

家族で集まっても、なかなか自分の話をしない父


-お二人の現在のお仕事について教えてください。

秀博さん(以下、秀さん) :私は自営業の傍ら、長男の農業を手伝っています。もともとは家内の親がやっていたのを、6年ほど前に長男が継ぎました。まだ手伝いが必要なので、私が一緒にやっています。

暢さん:僕はケータリングのスタートアップ事業に携わっています。食べ物とドリンクがセットになったボックスを個配して、テレワーク下のコミュニケーションを活性化させるというものです。大企業のオンライン飲み会などで多く利用されています。

-よくご家族で集まったりはされますか?

秀さん:何かしら集まっていますよ。2か月に1回くらいのペースで、家族みんなの誕生日会などをしています。

暢さん:この間もお母さんとおばあちゃんのお祝いをやったね。

-秀博さんは普段、これから迎える高齢期をどう過ごしたいかなど、息子さん達に話しますか?

秀さん:いや、話さないですね。家族の集まりだと大勢いるから、なかなかそういう話にはならないし、暢と二人で飲みに行くこともめったにないからね。長男は近くに住んでいて農業も一緒にやっているから、土地を広げようかとか、作物の種類を増やすかとか、そういう話はするけど、自分の話はしないですね。

暢さん:そう言われてみれば、僕から聞いたこともないですね。体に悪いところが見つかって入院するとか、何かきっかけがあれば話すんでしょうけど。

家族に頼ることを我慢しない


-暢さんは、お父さんの健康面で気になっていることはありますか?

暢さん:僕自身トライアスロンをしているので余計に思うのかもしれませんが、父は特に何もやっていないようなので、それがちょっと心配ですね。農作業で体を動かしているんでしょうけど、まずは農業を続けられる体力をつけるために日頃の運動習慣をつけてほしいなと思います。朝ゆっくり走るだけでも変わると思うんですけど。

秀さん:昔はゴルフとかバレーとか釣りとか、色々やっていたんですよ。でも今は時間がない。農業が忙しいからね。

暢さん:忙しいのもわかるけど、それは言い訳だよ。できないって決めちゃうからできないのであって、やるためにどうしたらいいか考えなきゃ。運動もだけど、お母さんと二人で旅行とかも行けばいいのにと思う。行くって決めちゃえば僕も手伝うし、もっと頼っていいんだよ。

-確かに、息子さんに頼るというのは一つのポイントかなと思います。家族にどこまで助けてもらうかは、高齢期における介護の問題などにも関わってきますよね。

秀さん:今の健康をこのまま維持していきたいけど、もし介護が必要になったら、施設に入ってもいいと私は思っているんですよ。

暢さん:そうなんだ?それは初めて聞きました。

秀さん:一緒にいて迷惑かけるよりはいいよね。まぁ息子はいいけど、お嫁さんが可哀想じゃない。もちろん、まだ先の話だけどね。

暢さん:気持ちはわかったよ。でも、施設に入る前に、まずは僕達が支えるけどね。

-秀博さんは健康診断を受けていますか?

秀さん:受けていますよ。大きな問題はないけど、血圧が高いです。

暢さん:お酒を飲まない日はないよね。それも心配ではありますね。休肝日を作らないのはやっぱりよくない。

-秀博さんは、終活について具体的に考えていることはありますか?

秀さん:まだ私の母が健在なので、自分のことまでは考えていないですね。誰に何を残すかとか、土地と家をどうするかくらいは、ぼんやりと考えることはあるけど。

暢さん:そんな話もしないよね。前に、祖母が僕の妻に指輪をくれたんですよ。女性のそういうのっていいなと思いましたけど、男同士だとなかなかね(笑)。

秀さん:スーツはサイズが合わないしね。靴とベルトならいっぱいあるよ(笑)。

お互いに後悔しないために、これから先のことを話しておく


-秀博さんは、これから挑戦したいことはありますか?

秀さん:昔は大型バイクに乗ったり、キャンプに行ったりしていたけど、今は全然やらなくなりました。暢のところに孫が生まれたらキャンプを再開しようかな。一緒に連れて行ってやりたいからね。

暢さん:キャンプは子供の頃よく連れて行ってくれましたね。その影響で大人になってもキャンプが好きで、父が色々と道具を買い揃えているので、たまに借りたりします。あと、父は昔ハーレーに乗っていたんですよ。また買えばいいじゃない。お母さんを後ろに乗せて、阿蘇に行ったりさ。すごくいいと思うよ。

秀さん:長男が結婚して、お嫁さんも農業を手伝ってくれるようになれば、もう少し時間ができると思うんだけど。

暢さん:時間もだし、心の余裕もできるよね。

秀さん:そうだね。これから何か始めるとしたら、それをきっかけにしようかな。そのためにも健康でいないとな。同世代も亡くなる年齢になって、実際友達も少なくなってきたからね。

暢さん:あと、他にも趣味もどんどん増やしてさ。盆栽とか、キャンプ料理とかどう?僕もやっているけど、自転車も楽しいよ。

秀さん:お酒を飲むから自転車はちょっとなぁ。いっそ、お酒を趣味ということにしますか(笑)。

暢さん:じゃあもうそっちがメインでもいいよ(笑)。お酒を楽しむために健康でいてくれれば。

-では、秀博さんは今後どのように年を重ねていきたいですか?

秀さん:今の自分の仕事と、長男の農業の手伝いを続けられるうちはずっと続けていきたいですね。今の暮らしを継続するっていうのが、一番幸せかな。

暢さん:いつまでも元気にというわけにはいきませんが、やっぱり長生きはしてほしいですね。先々の話ってあんまりしないのですが、今日は父から普段聞けないことが聞けてよかったです。これを機に、もっとこれからのことを話し合っていけたらいいなと思います。

(撮影場所)
三吉
福岡県福岡市博多区綱場町9-2


COLUMN

最期まで“自分らしく”あるために
誰でも人生の最期まで自分らしく生きたいと願うものですが、そのためには、元気なうちから、人生の最終段階までの過ごし方について自ら考え、備えておくことが必要です。

まずは「エンディングノート」などを活用し、自分の考えをまとめてみることから始めてみませんか。
もしもの時というのは、誰にいつ訪れるか分からないものです。
高齢期に向けて、不安なこと、自らが望む医療や介護などについて、日頃から家族やかかりつけ医など周囲の人とよく話し、理解しておいてもらうことも大切です。
もしもの時に備えて、大切な人と元気なうちからしっかりと話しておきましょう。

福岡市社会福祉協議会の「終活サポートセンター」には、「相続について知りたい」「医療同意の問題とは」といった具体的な内容から、「いつから終活を始めればいいか」という漠然とした不安まで、様々な相談が寄せられています。
以前は、定年退職や還暦、自身や身内の病気等が終活について考えるきっかけとなっていたかもしれませんが、現在は新型コロナウイルス感染症の拡大や自然災害が私たちの生活や社会全体に大きな影響を与えています。
30代〜40代でも「若いから大丈夫」ではなく、「若いうちから備え」へと考えをシフトする必要があるのではないでしょうか。
人によって様々な人生があるように、終活の形もまた十人十色です。自分にあった終活について学び、時には専門家のアドバイスを受けながら、より充実した終活を進めていくことが重要です。また、終活を自分と周囲との関係性を振り返るいいチャンスとして捉え、言い出せずにいたことを誰かと共有することができれば、今ある幸せや人生における大切なことを再確認することにもつながります。


≪関連リンク≫
★エンディングノートはコチラ
「マイエンディングノート」
最期まで自分らしく生きるために必要なことや、考えをまとめるお手伝いをするノート。テーマに沿って書きすすめるうちに、思いを自然と整理できます。

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「終活サポートセンター」
電話・面談による終活相談や、終活関連サービス(葬儀、納骨、相続、死後事務委託など)の情報提供、出張相談会や出前講座の実施


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