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【#100年恋をしよう -ボランティア編-】人の役に立つことが、また他の誰かの幸せへとつながるように

私たちが向かう人生100年時代。
自分らしく暮らす秘訣は、
いつでもいつまでも、恋するように何かに夢中になること。
この福岡のまちでイキイキ過ごす人々へのインタビューを通して、自分だけの人生100年を見つけるヒントをお届けする企画「♯100年恋をしよう」
第2弾は「ボランティア編」です。

どう始めればいいのかよくわからない「ボランティア」も、少しアンテナを広げると、多種多様な活動があることがわかります。まずは身近なものから参加することで、日々の暮らしをもっと充実させることができるはず。福岡を拠点に活躍するパラアスリートであり、ボランティアでの地域貢献も行う和泉さんに、自身の活動に対する思いと、その原動力について伺いました。

プロフィール
和泉かのこ / 身体障がい者水泳選手
1977年福岡市生まれ。交通事故で左足の機能に障がいを抱え、身体障がい者水泳へのチャレンジを決意する。現在はパラアスリートとして、数々の大会記録を更新中。

難しく考えず、まずは小さなことからやってみる

-現在和泉さんが携わっているボランティア活動について教えてください。

近隣の小・中学校で花壇や鉢植えのお世話をしたり、福祉の授業でお話をさせていただいたりしています。普段の学校の授業で車椅子を見る機会はなかなかないので、デザインに興味を持ってくれる子もいれば、実際に乗ってみて、操作方法や動きをおもしろいと感じてくれる子もいます。「初めての体験ができて楽しかったです」とお手紙をいただくこともあり嬉しいですね。なるべく一人ひとりにお返事を書くようにしています。

-数々の大会で記録を更新するなど、身体障がい者水泳の選手として第一線で活躍されている和泉さんですが、そんな中でボランティア活動を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

交通事故で足が不自由になる前から、障がいを持つ友人が身近にたくさんいて、手話で会話をしたりしていたんです。私ができることをして、その人が喜んでくれたらいいなという気持ちはもともと自然に持っていたので、ボランティアに対する特別な意識はありませんでした。その思いが怪我をしたことでより強くなり、いつの間にか始めていたという感じですね。

-ボランティア活動での交流を通じて、得たことは何ですか?

私自身、1児の母ですが、地域の子供達と触れ合うことで、子供から学ぶことって本当に多いんだなと改めて感じます。車椅子を使わずに、装具をつけて杖で歩く日もあるのですが、子供達は変に気を遣うことなく、ダイレクトに「どうしたの?」と聞いてくるんですよね。それで私も「大きなトラックと相撲をとってね、勝ったんだよ。でもね、足は治らないから気をつけてね」と言うと、「うん、気をつける!」と返してくれる。そういった自然な関わり方をするためには、こちらからも心を開かないといけないということに気づかされます。子供の純粋な目を通した反応や言葉に耳を傾けて、何か忘れてしまっている心はないかな?と自分に問いかけながら接するようにしています。

-これからボランティアを始めたいと考えている人にアドバイスするとしたら、どんなことを伝えたいですか?

私は自然と「今できることをやる」という気持ちで続けていますが、人それぞれボランティアに対する考え方は違うので、「やらないといけない」と感じることで、逆にそれが達成感につながる人がいてもいいと思います。ただ、団体とか規模とか、難しく考えだすと尻込みしてしまうので、ある時ふと、やりたいなと頭に浮かんだ小さなことを、まずはやってみるのが大切ですね。自分が動くことできっと周りもサポートしてくれるようになりますし、そこから新たな展開が生まれてくると思います。

心と体がバラバラだと前に進めない

-アスリートとして、体づくりで心がけていることは何ですか?

シンプルに、よく食べて、よく寝て、よく運動することです。水の中が好きなので、泳ぎながら自分の体のコンディションを確認するようにもしています。今日は重いな、軽いなと、体の重さも水の中で確かめるので、体重計には乗らないです。みんな、お母さんのお腹の中にいる時は水の中ですよね。だからやっぱり一番落ち着くのかなと思います。

-和泉さんとお話ししていると、前向きな明るい気持ちになれます。体を鍛えることが心の安定にもつながるのでしょうか?

そうですね。心と体は常につながっているので、一つの目標にしっかり向かっていくために、なるべくバラバラにならないよう心がけています。

-とはいえ、新型コロナで外出自粛期間などは、心の余裕やモチベーションを保つのが難しかったのではないでしょうか?

あれをしなきゃ、これをしなきゃと、たくさんのことを同時進行したり、慣れないことにぶつかったりして、余裕がなくなることもありました。人に聞けばいいだけのことなのに、それができずに周りに迷惑をかけてしまったり。完璧な人間ではないので、日々反省しながら、次はこうしようと、地道に前に進むことしかできないんだなと思いました。ただアスリートとして、大変だとか辛いとか、ネガティブな気持ちは全くないので、「一生懸命頑張る」ということを好きでやれているのは大きいかもしれません。

出会いを大切に、人の役に立つこと

-1児の母としての顔も持つ和泉さんですが、子育てをしていて思うことはありますか?

娘がまだオムツをしている頃に事故に遭って、1年間入院しました。退院してからも3年入退院を繰り返し、辛いことももちろんありましたが、泣いていても仕方がないし、できないことが増えたなら、その分新しいことをやってみようと前向きに進んできました。小さかった娘も年頃になってきて、最近では「あっち行って」とか言われてしまうこともあるのですが(笑)、私もこんなこと母に言ってたな、悪かったなと思いながら、やっぱり私はいつまでも自分の母は超えられないなと憧れてしまいます。母はよく私に「親にとって、子供は一生子供なんだから」と言うのですが、きっとそんな風に、私が受けた愛情を娘に伝えて、娘がまた次につないでいくということが、人生なのかなと思います。

-それでは最後に、今後どのように年を重ねていきたいですか?

家族があり、友人があり、みんなに支えられて今の私があるので、一つひとつの出会いを大切にしながら、お世話になった人達が望んでいることを、自分のできる範囲でお手伝いしていきたいと思っています。一度は事故でなくなっていたかもしれない私の命が、誰かの役に立ち、その人がまた違った形で誰かの幸せをつないでいってくれたら嬉しいです。

撮影場所
海の中道海浜公園
福岡県福岡市東区西戸崎18−25


COLUMN
“誰かのため”が“自分のため”に
ボランティアといえば人や社会のために取り組むことですが、ボランティアを通して何ものにも代えがたい出会いや感動、学びを得ることも多くあります。
様々な関わりを通して、それまで知らなかった世界を知り、視野を拡げることで他者への理解や共感が生まれます。
また近年では、人との関わりを広げることが自身の健康づくりにも役立つと言われています。実際にボランティアグループの活動が活発で地域組織への参加割合が高い地域ほど、認知症リスクのある後期高齢者が少ないという調査結果も出ています。
地域活動やボランティア活動に参加してみたいけれど、何から始めたら良いか分からないという方がいたら、まずは興味のある身近なことから一度体験してみませんか。
例えば、自分の住むまちの自治会・町内会が行っている清掃活動やイベントに参加をしてみるなど。思いがけない新たな出会いや地域の魅力の新たな発見があるかもしれません。災害の多い時代、高齢化社会において“地縁”を大事にすることは、いざという時の住民同士の助け合いの心にもつながります。


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「福岡市NPO・ボランティア交流センター あすみん」
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「介護支援ボランティア事業」
65歳以上の高齢者が介護保険施設でボランティア活動を行うと“ポイント”が付与され、たまったポイントを換金または寄附することができます
(お問合わせ)
福岡市社会福祉協議会 ボランティアセンター
TEL:092-713-0777

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